あおり運転に対する厳罰化が始まっています。
大分県であおり運転厳罰化後初めての逮捕者が出たようです。あおり運転の厳罰化を知っていたのか知らなかったのか定かではありませんが、全国で初というのは不名誉な記録です。
これから秋の行楽シーズンが始まります。新型コロナウイルス(武漢肺炎)の影響で外出を取り止める方も多いと思いますが、小さなお子さんのいるご家庭などでは家に閉じこもっているわけにもいかず、車で近場の行楽地に出かける事も多いと思います。不愉快な目に遭わない、遭わせない為にも、あおり運転の厳罰化について再確認しておいても損はないでしょう。
あおり運転の厳罰化
自動車を運転している時に他の車から
- 車間距離をつめられた
- しつこくパッシングをされた
- しつこくクラクションを鳴らされた
- 進路をふさがれた
などの経験はありませんか。
ひとつ間違えれば重大事故につながる相次ぐあおり運転の事例に対して法改正がなされたのが、あおり運転を取り締まる為の法律「運転妨害罪」なのです。
これまではあおり運転を直接取り締まる法律がないため、道路交通法の車間距離不保持や急ブレーキ禁止違反、または、刑法の暴行罪などが適用されてきたのですが、厳罰を望む社会の声を反映する為に、道路交通法を改正しあおり運転を直接取り締まることのできる「運転妨害罪」が成立することとなりました。
あおり運転厳罰化はいつから
2020年6月30日から、あおり運転の厳罰化(運転妨害罪の適用)が始まりました。
ということはすでに始まっていますね。
あおり運転(運転妨害罪)の罰則
正式な法令名は「妨害運転罪」といい、違反すると一発で免許取り消しとなり、最長で5年の懲役刑や罰金などかなり厳しい罰則が科されます。
妨害運転罪の罰則
違反による罰則は、「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」が科せられます。基礎点数は酒気帯びと同じ25点です。また、高速道路上で相手車両を停車させるなど、著しい危険を生じさせた場合は、「5年以下の懲役又は100万円以下の罰金」が科せられます。基礎点数は35点で、酒酔い運転と同じです。
これらに違反すると事故を起こさなくても免許を取り消されることとなります。
行 為 | 罰 則 | 行 政 処 分 |
通行妨害目的で交通の危険のおそれのある方法により、一定の違反をした場合 | 3年以下の懲役 又は 50万円以下の罰金 | 違反点数 25点 →免許取消し(欠格期間2年) |
上の行為に加え、著しい危険(高速での停車等)を生じさせた場合 | 5年以下の懲役 又は 100万円以下の罰金 | 違反点数 35点 →免許取消し(欠格期間3年) |
あおり運転とはどのような運転を指すのか?
あおり運転(あおりうんてん)とは、
- 後方から極端に車間距離をつめて威圧したり
- 理由のないパッシングや急停止をしたり
- 故意に特定の車両の運転を妨害するような振る舞いをしたり
といった迷惑行為とされます。
あおり運転(妨害運転)の典型例
他の車両の通行を妨げる目的で行う車間距離の不保持や急な進路変更、急ブレーキなどの10種類が妨害運転の典型例として取り締まりの対象となります。
- 車間距離を極端に詰める(車間距離不保持)
- 急な進路変更を行う(進路変更禁止違反)
- 急ブレーキをかける(急ブレーキ禁止違反)
- 危険な追い越し(追越しの方法違反)
- 対向車線にはみ出す(通行区分違反)
- 執ようなクラクション(警音器使用制限違反)
- 執ようなパッシング(減光等義務違反)
- 幅寄せや蛇行運転(安全運転義務違反)
- 高速道路での低速走行(最低速度違反)
- 高速道路での駐停車(高速自動車国道等駐停車違反)
あおり運転にあってしまった時の対策
あおり運転には遭遇しない方がよいのですが、相手のあることでそうもいきません。何気ない原因で相手が激高し、嫌がらせの意味であおり運転をしてくる場合もあるのですから注意しなければいけません。
対策の基本は相手のペースに乗せられないことなんですが、なかなかそうもいかないかもしれません。
そうならないためにあおり運転にあったときの正しい対処法があります。
あおり運転を受けたときどうすればよいの?
サービスエリアやパーキングエリアなど安全な場所に避難する。
特に高速道路では路上に停車してしまうことそのものが非常に危険です。なんとか近くのSAやPAに入って避難しましょう。
警察に通報する
ためらう必要はありません。警察を呼びましょう。
当人同士で解決するのはほぼ不可能な場合が多いでしょう。なにしろ相手はあなたに対して怒りを持っているのですから話にならないでしょう。
警察が来るまでは外に出ない
ドアロックをして警察が到着するまでは車内で待機しましょう。安全の為不用意に外に出ないようにしましょう。
激高した相手が襲ってくるかもしれません。
ドライブレコーダーを搭載し相手の行為を映像で記録しておきましょう
ドライブレコーダーを搭載することで、映像という強力な証拠が残ります。ナンバープレートなどの重要な情報が残っていれば相手が去ってからでも警察が捜査の情報として役立てることができます。
あおり運転対策に効果的!ドライブレコーダーがおすすめ!!
後続車にドライブレコーダー搭載車であることをアピールすることで、後続車のドライバーの安全運転意識を促し、 あおり運転の抑制にも効果があるといわれています。
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ドライブ時の安心感を得る為にもドライブレコーダーを取り付けてみませんか。


あおり運転罪(運転妨害罪)の曖昧さに注意したい
あおり運転罪(運転妨害罪)には構成要件を満たす上での曖昧さがあるのでちょっと危険な法律であると考えることもできるのだそうです。
言いがかりやえん罪に注意
「道路交通法の一部を改正する法律案要綱」
第三 悪質・危険運転者対策の推進に関する規定の整備
一 妨害運転に対する罰則の創設(第百十七条の二及び第百十七条の二の二関係)
(一)他の車両等の通行を妨害する目的で、一定の違反行為であって、当該他の車両等に道路における交通の危険を生じさせるおそれのある方法によるものをした者に対する罰則を創設する。(二)(一)の罪を犯し、よって高速自動車国道等において他の自動車を停止させ、その他道路における著しい交通の危険を生じさせた者に対する罰則を創設する。
二 運転免許を受けることができない期間等に関する規定の整備(第九十条、第百三条及び第百七条の五関係)
公安委員会は、運転免許を受けた者が一の(二)の行為をしたときは、その者の運転免許を取り消す
ことができることとするとともに、三年以上十年を超えない範囲内で当該処分を受けた者が運転免許を受けることができない期間を指定すること等ができることとする。三 運転免許の効力の仮停止に関する規定の整備(第百三条の二関係)
一の(二)の行為をし、よって交通事故を起こして人を死亡させ、又は傷つけた場合について免許の効力の仮停止の対象とすることとする。この法律は、上の条文の通り、「通行を妨害する目的」「交通の危険を生じさせるおそれ」であるとか、「著しい交通の危険を生じさせたもの」とか、主観がものをいうあいまいな言葉だらけ。「通行を妨害する目的」だったかどうか、一体、誰が判断するというのだろうか?
とにかく、「あおる」つもりなんてなかったのに、こんな「とんでも法」のおかげでいいがかりをつけられ、濡れ衣を着せられるなんてたまったもんじゃない。なにしろ、大切な運転免許が取り消され、おまけで懲役までついてくるかもしれないのだから! というわけで、くれぐれも運転中の誤解を招くような行為は厳禁です!
どういうことかというと、どういった行為が運転妨害罪になるのかが裁量(今風にいえば忖度?)しだいのところがあるということ。そんなつもりじゃなかったのに…が起こりうるという事です。
具体的に、どのような行為が「通行を妨害する目的」なのか、「交通の危険を生じさせるおそれのある方法」となどんな方法なのか、「著しい交通の危険を生じさせた者」とはどんな危険なのかが漠然としているので、取り締まり側の裁量でどうなるかわからないという曖昧さが残る点です。
まあ基本は疑いを持たれるような運転をしないように気をつけることしかないのでしょう。
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